ブランドステートメントとは。企業理念・タグラインとの違いと、書き方

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ブランドステートメントとは。企業理念・タグラインとの違いと、書き方

ブランドステートメントとは、会社が誰に何を約束し、なぜそうするのかを、数文から数段落にわたって書いた文章です。会社紹介のページや会社案内の冒頭に置かれます。

MVVもブランドコンセプトもタグラインも、言葉を分けて短くする方向で作ります。ステートメントは向きが逆で、分けた言葉をつなぎ、短くすると落ちる「なぜ」を書く文章です。

この記事では、企業理念やタグラインとの違いから入ります。そのうえで、何を書くか、並べただけになっていないかの確かめ方、書く順番を扱います。

ブランドステートメントとは何か

ステートメントは、読むつもりで来た人に向けた文章です。

置かれるのは、会社紹介のページ、会社案内の最初の見開き、採用の資料の冒頭といった場所です。どれも、相手がその会社について知ろうとして開く場所です。一目で判断される場所ではないので、数段落の長さを置けます。

長さは会社ごとに違います。二、三文で終えるところもあれば、何段落にもわたるところもあります。一文か二文のものをステートメントと呼ぶ会社もあるので、この語が指す長さには幅があります。

中身は、誰に何を約束するのか、なぜそうするのか、何を選ばないのか、です。ここまでは、ほかの言葉にも書かれています。ステートメントにしかないのは、それらのあいだの理由です。

なぜ要るのかは、並べて見せたときに分かります。サイトにミッションとバリューとタグラインが並んでいても、三つがどうつながっているかは、外の人には読み取れません。社内の人はつながりを知っているので、書かれていないことに気づきにくいところです。

私たちは、ステートメントを「分けた言葉をつなぐ文章」として扱っています。業界で決まった定義ではありませんが、こう置くと、ほかの言葉との役割の違いがはっきりします。次の章から、その違いを一つずつ見ていきます。

企業理念・MVVとの違い

企業理念やMVVは、分けて使うための言葉です。

MVVは、ミッション・ビジョン・バリューを分けて持ちます。使う場面が違うからです。ミッションは事業を増やすかどうかを決めるとき、ビジョンは人と予算を配るとき、バリューはその場で何かを決めるときに取り出します。場面ごとに取り出せるように、分けてあります。

分けずに一文にまとめるとどうなるか。MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)とは。3つの違いと、矛盾したときの決め方では、「私たちは◯◯を通じて社会に貢献し、△△な会社を目指し、□□を大切にします」という文を例に、明日の判断には使えないと書きました。理由は「終わらないものと、期限のあるものと、今日使うものが、同じ重さで並んでいるから」です。

ステートメントは、このまとめた形を、別の仕事のために書くものです。外の人に一度で読んでもらうために書きます。判断の道具としては使えない形でも、読ませる文章としては成り立ちます。使う場面が違う、ということです。

判断に使うときは、ステートメントの中から一文を取り出すことになります。その取り出して使う短い言葉として作られているのが、MVVやコンセプトです。分けて使うのが理念で、つないで読ませるのがステートメントです。

もう一つ、ステートメントは上の例文の先まで書きます。例文は三つを並べただけで、三つがなぜその組み合わせなのかは書いていません。そこを書くのがステートメントです。

企業理念という言葉は、会社によって指す範囲が違います。MVVの全部を指す会社もあれば、額に入った一文だけを指す会社もあります。どちらの場合も、ステートメントはその中身を材料にして書きます。

材料がないまま書き始めると、つなぐものがないので、つないでいるように見える文章だけができます。まだ理念がない会社は、ステートメントより先に、社内にすでにある言葉を集めるところから始めます。その手順は企業理念とは。経営理念との違いと、作り直すときの判断に書きました。

理念がない状態でステートメントだけを頼まれた場合も、同じことが起きます。そのまま書いて渡せば、読める文章は納まります。ただ、つなぐ元が社内のどこにも決まっていない状態が残ります。私たちは、材料が足りないときは、書く前にそのことをお伝えしています。書いたあとで分かるより、書く前に分かるほうが、戻る距離が短いからです。

タグラインやストーリーとの違い

タグラインとストーリーは、ステートメントと同じページに並ぶことがある言葉です。

ブランドコンセプト タグライン ステートメント ブランドストーリー
長さ 一言 一文 数文〜数段落 文章
置く場所 約束を決めた文書 ロゴの近く 会社紹介のページ 会社紹介・採用
読まれ方 判断のときに立ち返る 読む前に目に入る 通して読む 通して読む
役割 判断の拠りどころ 社名を補う 分けた言葉をつなぐ いまの形になった理由を伝える

この表は、私たちの使い分けです。コンセプトは、誰に何を約束するかを一言で決めたものです。作り方はブランドコンセプトとは。作り方と、機能しているかの見分け方に書きました。タグラインは、その約束を社名の隣で一文にしたものです。どちらも短くするほうへ向かう言葉で、ステートメントの材料になります。

表で分かれるのは、三行目の読まれ方です。タグラインは、名刺やサイトの上部で、読む前に目に入ります。ステートメントは、読むつもりで来た人が、最初から最後まで通して読みます。同じ約束から出発していても、置かれる場面が違うので、書き方が変わります。

ストーリーとの違いは、時間の向きです。ストーリーは、すでに起きたことから選んで話す文章です。ステートメントが書くのは、いまの立場です。創業の経緯が一文入ることはありますが、そこが中心になると、ストーリーを書いていることになります。ストーリーの材料の選び方は、ブランドストーリーとは。材料の探し方と、どれを選ぶかの基準に書きました。

ステートメントとストーリーは、似た場所に置かれるので混ざります。会社紹介のページに、来歴と約束が同じ段落で書かれていることがあります。どちらも要る文章なので、混ざっていること自体は問題ではありません。ただ、書く前にどちらを書いているのかを決めておくと、材料の選び方が変わります。

会社全体を一貫して示す仕組みのなかでの位置は、コーポレートアイデンティティとは。MI・BI・VIと、作れるものと作れないものに書きました。

呼び方も一つではありません。コーポレートステートメントやブランドメッセージ、ブランドプロミスといった言い方があり、何を指すかは会社によって違います。呼び方より、何をしている文章かで見分けます。分けた言葉をつないでいるなら、呼び方が何であれ、この記事で扱っているものです。

何を書き、何を書かないか

ステートメントに入れるものは、材料の側から決まります。

材料は、誰に何を約束するか、なぜそうするのか、何を選ばないのか。そして、それらのあいだの理由です。

タグラインは、全部を入れた長い版を一度書き、そこから削っていきます。なくても意味が伝わる言葉から外し、次に他社でも言えることを外していくと、その会社でしか言えない部分が残ります。この順番はタグラインとは。キャッチコピーとの違いと、短くならないときの原因に書きました。

この二段で外したものは、ステートメントにも入れません。他社でも言えることは、段落が増えても、他社でも言えることのままです。一文なら、長さそのものが削る理由になります。ステートメントには、その歯止めがありません。

ステートメントで書けるようになるのは、タグラインが置き場所の条件で書かなかったものです。社名の隣に置かれるタグラインは、社名が言えていない部分だけを補います。社名が言っていることは、同じことを二度言わないために書きません。読む前に目に入る一文なので、前提を必要とする言葉も使えません。ステートメントは通して読まれる文章なので、社名が言っていることも、前提が要る言葉も書けます。前提は、文章の中で先に書いておけるからです。

入れる要素も同じです。タグラインは、誰に向けているか、何を提供するか、どう違うか、相手にどうなってほしいか、の四つとも入れると一文で覚えてもらえなくなるので、選びます。ステートメントは、四つをそろえて書けます。ただ、どう違うかは比べる相手が変われば変わるので、タグラインと同じく、自社の側だけで言い切れる形にします。

外したあとに残った部分が長い場合は、話が別です。タグラインの記事では、残った部分が長いなら、約束のほうにまだ絞る余地があると書きました。ステートメントでも同じで、約束が絞れていないまま移すと、長い文章になるだけです。その場合は、書く前に約束を絞り直します。

反対に、ステートメントに入れないものもあります。

  • 実績の数字。時間が経つと古くなります。数字が入ると、何を約束しているかより、どれだけやってきたかの話に寄ることがあります
  • 事業の説明。何をしている会社かを順に説明し始めると、会社案内の本文になります
  • 期限のある目標。期限が来たら書き直すことになります。期限のある到達点は、ビジョンの仕事です

この三つは、私たちの線引きです。入れて成り立っている文章もあります。入れるなら、何年そのまま置いておけるかを確かめてからにします。

並べただけになっていないか

ステートメントの下書きは、材料を順番に並べた形になることがあります。

MVVを上から順に文章にする形です。一文ずつは正しく、読みにくくもありません。ただ、それぞれの文が、隣の文と関係なく立っています。これでは、MVVを別の形で繰り返したことになり、外の人が読んでも、三つの関係は分かりません。

並べただけかどうかは、確かめられます。

一つめは、文の順番を入れ替えて読むことです。入れ替えても意味が通るなら、並べただけです。つながっている文章は、理由が結論の後ろに回ったり、前提が消えたりして、入れ替えると読めなくなります。

二つめは、一文を抜いて読むことです。抜いても前後が困らない文は、つなぎの役をしていません。その文が単独で言いたいことを言っているだけ、ということになります。

数段落あるステートメントなら、段落の単位でも同じことをします。段落を入れ替えても読めるなら、段落ごとに別の話をしています。一つの段落の中はつながっていても、段落どうしがつながっていない、ということは起こります。長い文章ほど、この確かめ方が効きます。

同じ材料で、二つの形を並べてみます。〔 〕の中には、それぞれの会社の言葉が入ります。

並べた形は、たとえばこうなります。

  • 私たちは〔誰〕に〔何〕を届けます。
  • 〔価値〕を大切にしています。
  • 〔将来像〕を目指しています。

つないだ形は、こうなります。

  • 〔誰〕は〔困っていること〕を抱えています。
  • だから私たちは〔何〕を届けます。
  • 〔何〕を届け続けるために、〔選ばないこと〕はしません。
  • それが、〔価値〕を大切にするということです。

並べた形は、三行をどう入れ替えても読めます。つないだ形は、一行目と二行目を入れ替えると、「だから」が何を受けているのか分からなくなります。三行目を抜くと、四行目の「それが」は二行目を指すことになり、〔価値〕が、届けることの言い換えになってしまいます。入れ替えると崩れるのは、行と行のあいだに理由があるからです。

ただ、この形に〔 〕を埋めれば書ける、というものではありません。〔困っていること〕と〔何〕のあいだに本当の理由がなければ、「だから」は飾りになります。接続詞は、つながっていることを示す言葉で、つながっていないものをつなげる言葉ではありません。

並べた形で書いたものがすでにある場合も、無駄にはなりません。MVVの一覧としては正しく書けているので、そのまま材料になります。そこに、行と行のあいだの理由を書き足していきます。書き足せない行間が見つかったら、そこが次に決めるところです。

短い言葉から書き始める

タグラインは、長い版を書いてから削る順で作ります。ステートメントは逆です。

すでに決まっている短い言葉から始めて、そのあいだを埋めていきます。長い版から削る順にすると、削る途中で材料の言葉が言い換えられ、MVVやコンセプトと少しずつ違う言葉がステートメントに入ります。短い言葉が社内で決まっているなら、それを変えずに使うほうが、ほかの言葉と食い違いません。

順番は、こうなります。

  1. 材料を並べる。コンセプト、ミッション、バリュー、タグライン
  2. 隣り合う二つのあいだに、「なぜ」を一行ずつ書き出す。なぜこの相手に、この約束なのか。なぜこの約束に、この価値がつくのか
  3. 書き出した行を、文章にする
  4. 前の章のとおり、順番を入れ替えて読む。一文を抜いて読む
  5. 社内の誰かに、声に出して読んでもらう

二で「なぜ」が書けないところは、材料のほうがまだ決まっていません。そこは文章の問題ではないので、書き方を工夫しても埋まりません。

気をつけたいのは、書き慣れた人ほど、ここを文章で埋められることです。つながっていない二つを、接続詞と言い回しで自然に並べることができます。読めば流れているように見えるので、決まっていないことが隠れます。

発注した側は、読める文章を受け取って安心します。ところが、社内で説明しようとしたときに、なぜそうなのかの言葉が出てきません。だから私たちは、つながらないところを言い回しで埋めずに、確認に戻します。戻したところで止めずに、足りない部分を一緒に作るところから始めます。

五の声に出す確認は、書いた人以外が読むことに意味があります。書いた人は、書いていない理由を頭の中で補って読めてしまいます。読み慣れていない人がつまずいた箇所は、理由が文章の外にある箇所です。

読むつもりで来た人の前に置く

タグラインは、読む前に判断が始まる場所に置きます。ステートメントは、読むつもりで来た人の前に置きます。

会社紹介のページ、会社案内の最初の見開き、採用の説明の冒頭。どれも、相手が時間を使うつもりで開く場所です。長さが問題になりにくく、つながりを追って読んでもらえます。

媒体が変わるたびに、別の版を用意したくなる場面があります。ページの幅に合わせて縮めた版、紙のために足した版、応募者向けに言い回しを和らげた版。版が増えると、それぞれに別の担当者が手を入れるので、中身が少しずつずれていきます。もとになる文章を一つだけ持ち、短くしたい場所には、その中から段落を選んで置きます。どの媒体で読まれても、約束とつながりは同じになります。

社外に向けて置いた文章は、社内でも使われます。新しく加わった人が会社を知る手がかりになり、方針を話す場で引かれることもあります。ステートメントを読んで、自分の仕事が約束のどこにつながっているのかを説明できるなら、社内でも機能しています。社内で使われる状態の作り方は、インナーブランディングとは。進め方と施策、効果の見方に書きました。

分けたあとに、つなぐ

言葉を分けるのは、使う場面ごとに取り出すためでした。ミッションは事業を増やすとき、バリューはその場で決めるとき。分けてあるから、判断に使えます。

ただ、分けたままでは、外の人には一つの会社の話として見えません。ステートメントは、分ける仕事が終わったあとに、それらをつなぐ文章です。

だから、分ける前に書き始めると、つなぐものがありません。書けるのは、つないでいるように見える文章だけです。書く順番は、決めることの順番に従います。

分けて決めてきた言葉は、ステートメントの中ではじめて、一つの会社の話として読まれます。

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