タグラインとは。キャッチコピーとの違いと、短くならないときの原因

タグラインとは。キャッチコピーとの違いと、短くならないときの原因

タグラインとは。キャッチコピーとの違いと、短くならないときの原因

タグラインとは、その会社やブランドが何を約束しているかを、短い一文にしたものです。ロゴの近くに置かれ、社名だけでは伝わらない部分を補います。長さに決まりはありませんが、覚えていられる範囲に収めます。

タグラインが短くならないとき、詰まっているのは言葉ではなく、その手前の約束です。何を約束しているかが決まっていれば、短くする作業はそれほど難しくありません。決まっていないものは、何度書き直しても短くなりません。

この記事では、キャッチコピーとの違いから入ります。そのうえで、短くならないときに何が起きているのか、何を残して何を捨てるのかを書きます。

タグラインとは何か

社名は、何をしている会社かを伝えません。業種名が入っていても、そこから分かるのは業種までです。同じ業種の会社は他にもあるので、それだけでは選ぶ理由になりません。

タグラインは、その足りない部分を補います。何を約束しているのかを、社名の隣で一文にする。

ロゴと一緒に置かれるのは、見た人がその場で判断するからです。名刺を渡された相手は、説明を聞く前に目にします。サイトを開いた人は、内容を読む前に見ます。読む前に判断が始まる場所なので、そこに置きます。

補う部分は、会社によって違います。社名が抽象的なら、何をしているかを補います。業種名が社名に入っているなら、業種は要りません。誰に向けているのか、どう違うのかを補うことになります。同じ長さの一文でも、社名との組み合わせで中身が変わります。

タグラインを置かない会社もあります。社名だけで何をしているかが伝わるなら、補う必要がありません。要るかどうかは、社名が何を言えているかで決まります。

位置づけとしては、上流に約束を決める作業があって、タグラインはその出力です。先に決まっていないと、出力は作れません。この順番が、この記事の中心になります。

ブランディング全体のなかでどこに当たるかは、ブランディングとは。何をすることで、どこから手をつけるのかに書きました。

私たちは、タグラインを約束の出力として扱っています。業界で決まった線引きがあるわけではありませんが、こう置くと、書けないときにどこへ戻ればいいかが決まります。

キャッチコピーとの違い

この二つは、混ざりやすい言葉です。どちらも短い一文で、目立つ場所に置かれます。

分かれるのは、対象と寿命です。

タグライン キャッチコピー
対象 会社・ブランド 商品・企画・広告
期間 変えない前提 期間で入れ替える
置き場所 ロゴの近く 広告・売り場
決める人 経営 担当・制作

違いが出るのは、表の二行目です。キャッチコピーは、入れ替える前提で作られます。季節が変われば変わりますし、商品が変われば変わります。入れ替えても困らない設計です。

タグラインは、入れ替えません。覚えてもらうまでに時間がかかるので、変えると積み上げた分が消えます。

混ざると何が起きるか。タグラインを毎年見直すことになります。そのたびに新しくなるので、誰も覚えません。逆に、キャッチコピーを長く使い続けると、いまの商品と合わなくなります。

決める人が違うのも、実務では効きます。キャッチコピーは担当や制作の側で決められますが、タグラインは会社が何を約束するかの話なので、決める人が上に来ます。

混ざる理由もあります。どちらも制作の場で作られるからです。同じ人が同じ会議で両方を出すこともあります。作る作業は似ていますが、決めたあとの扱いが違うので、どちらを作っているのかを先に決めておきます。

見分け方は単純です。その一文を、来年も使うつもりがあるか。あるならタグライン、無いならキャッチコピーです。

両方を持つ会社もあります。タグラインを変えずに置いたまま、企画ごとにキャッチコピーを入れ替える。この形なら混ざりません。役割が分かれているからです。

使い分けができていないと、依頼の段階でずれます。タグラインを頼んだつもりで、出てきたのが広告用の一文だった。逆に、企画の一文を頼んだのに、会社全体の話から始まった。どちらを作るのかを先に決めておくと、この行き違いは起きません。

スローガンという語も使われます。指す範囲が会社によって違うので、社内で話すときは何を指しているかを先に確かめると早く進みます。

短くならないときに起きていること

案は出るのに、決まらない。長い案しか出てこない。この状態は起こります。

書く力の問題ではないことがあります。短い一文を書くこと自体は、書き慣れた人なら難しくありません。それでも決まらないなら、別のところで詰まっています。

短くするというのは、捨てるということです。全部は入らないので、どれかを外します。

外せないのは、どれが要らないかを判断できないからです。判断するには基準が要ります。何を約束するかが決まっていれば、それに関係のない要素から外せます。決まっていなければ、どれも同じ重さに見えます。

だから、案が長くなります。捨てられないものを全部入れると、長くなるしかありません。

私たちが相談を受けるなかで見かけるのは、全部入れようとする形です。事業の説明も、強みも、姿勢も、これからのことも。一文にまとめると、何も言っていない文になります。どこかで見たことのある言い回しになるのも、要素が多すぎて具体を落とすからです。

判断できないまま進める方法もあります。並べた案から、良いと思うものを選んでもらう形です。その場では決まりますが、なぜそれにしたのかが残りません。あとで別の人が見たときに、変えていいのかどうかが分からなくなります。

そして、選んだ一文が実際に使われるかどうかも、そこで決まります。理由のない一文は、社内で説明できません。説明できない言葉は、名刺に印刷されても口には出ません。

詰まっているのが上流かどうかは、確かめられます。何を約束しているかを、一度書き出してもらう。書き出せるなら、短くする作業に戻れます。書き出せないなら、そちらが先です。書き出したものが長い場合も、同じことが起きています。約束のほうが絞れていないので、そこから短い一文は出てきません。

短くできないことは、失敗ではありません。上流が決まっていない、という情報です。作れないという症状が、どこに戻ればいいかを教えています。

もう一つ、決まっているのに書けない場合もあります。約束は決まっていて、それを一文にする作業自体でつまずいている。この場合は上流に問題がないので、次の章の手順に進みます。

戻る先は、誰に何を約束するかです。作り方と、それが機能しているかの見分け方は、ブランドコンセプトとは。作り方と、機能しているかの見分け方に書きました。

短くならないと言われたときに、案を出し続けるのか、上流に戻すのか。ここで案を足すと、選べない案が増えるだけになります。戻すほうが、結果として早く終わります。

何を短くするのか

約束の全部は、一文に入りません。入れる要素を選びます。

候補は限られています。誰に向けているか。何を提供するか。どう違うか。相手にどうなってほしいか。

四つとも入れると、説明文になります。一文のなかに情報が並ぶだけで、覚えられません。

選び方の基準は、社名です。社名が言えていない部分を、タグラインが補います。社名に業種が入っているなら、業種を書く必要はありません。同じことを二度言うことになります。抽象的な社名なら、何をしている会社かを補うところから始まります。

同じ約束から、複数のタグラインが作れます。どれを選ぶかは、社名との組み合わせで決まります。他社のタグラインをそのまま参考にしても自社では成立しないのは、社名が違うからです。

もう一つの基準は、その場で判断される場面です。名刺を渡すとき、サイトを開いたとき。相手がまだ何も知らない状態で読む一文なので、前提を必要とする言葉は使えません。社内で通じる言い回しは、そこで落とします。

入れる要素で迷いやすいのが、どう違うか、です。他社と比べた違いを入れたくなりますが、比べる相手が変われば違いも変わります。相手に依存する内容は、長く使う一文には向きません。自社の側だけで言い切れることを選ぶと、比べる相手が変わっても残ります。

外す判断は、書いたあとにします。先に絞ってから書くと、書ける範囲が狭くなります。全部入れた長い版を一度書いて、そこから外していく順のほうが、残すものが決まります。

外す順番も決められます。まず、なくても意味が通る言葉から外します。次に、他社でも言えることを外します。最後に残るのが、その会社でしか言えない部分です。

残った部分が短ければ、それがタグラインになります。残った部分が長いなら、約束のほうにまだ絞る余地があります。ここでも、上流に戻る判断が出てきます。

書いた本人が説明できるかも、確かめます。なぜこの言葉にしたのかを、社内の人に説明する。説明の途中で言い直したくなるなら、まだ決まっていません。

長さと形をどう決めるか

長さに決まりはありません。基準は、覚えていられるかどうかです。

確かめ方は、声に出すことです。息継ぎなしで言えるなら、覚えられる範囲に入っています。読点が二つ以上入るなら、長い。

形にも選択があります。動詞で終えるか、名詞で止めるか。

動詞を入れると、動きが出ます。何をする会社かが伝わりやすくなります。ただ、動詞には期間の含みが出ます。これからそうする、という読み方をされることがあります。

名詞で止めると、状態になります。動きは弱くなりますが、時間の含みが消えます。長く使う前提なら、こちらが向いていることがあります。

英語にするか日本語にするかも、決めます。読む人が意味を取れるかで決めます。見た目で英語を選ぶと、意味が伝わらないまま置かれます。取引先が海外にいるなら、事情が変わります。

読みやすさも見ます。声に出したときに詰まる箇所があるなら、そこで読む人も止まります。音の並びは、意味とは別に効きます。

誰が読み上げるかも考えます。社員が電話で名乗るときに続けて言えるか。採用の説明会で口に出せるか。書いたときには収まっていても、話し言葉にすると長い、ということがあります。

そして、書いた形のまま使われるとは限りません。名刺では小さく組まれ、サイトでは大きく出ます。文字の大きさが変わっても読めるかを、決める前に確かめておきます。

決まらないときに案の数を増やすのは、前の章に戻る合図です。形の問題ではないことがあります。

案を数だけ出して選んでもらう形にすると、決める材料を渡していないことになります。それぞれが何を捨てた案なのかを添えないと、受け取った側は好みで選ぶしかありません。

決めたあとに変えるか

タグラインは、変えない前提で作ります。覚えてもらうまでに時間がかかるからです。

それでも、変える場面はあります。事業が変わった、扱うものが変わった、約束そのものが変わった。中身が実態と合わなくなったなら、変えます。

判断が分かれるのは、言い回しが古いだけの場合です。表現が古いことと、考えが古いことは別です。当時の言い方で書かれているだけで、指している中身がいまも動いているなら、変える理由がありません。

変えると、それまで積み上げたものが消えます。覚えていた人にとっては、別の会社に見えます。付いている印象を変えるとどうなるかは、ブランドイメージとは。動かせる範囲と、ずれに気づく方法に書きました。

見直す時期は、期間ではなく出来事で決めます。何年経ったから見直す、という決め方だと、その日が来ても動きません。事業が増えたとき、扱うものが変わったとき、社名を変えたとき。そういう場面で見直すほうが、判断する材料がそろっています。

会社全体を作り直す判断になる場合は、タグラインだけの話ではなくなります。進め方はリブランディングとは。意味・進め方・費用・判断のタイミングにまとめました。

変えると決めた場合も、切り替え方があります。ある日を境に全部を入れ替えるか、新しく作るものから順に変えるか。印刷物が残っているうちは、しばらく両方が並びます。並ぶ期間をどう扱うかを、変える前に決めておきます。

変えないという判断も、決めた結果です。見直して、変えないと決める。この記録が残っていると、次に同じ議論が起きたときに早く済みます。

どこに出すか

置く場所は、決めてから作るほうが早く済みます。ロゴの近く、名刺、サイトのヘッダー、会社案内の表紙、採用ページ。

出す場所を決めていないと、作った時点で作業が終わります。一文はできたが、どこにも出ていない、という状態です。

ロゴと組み合わせるなら、位置と余白を決めておく必要があります。組み合わせ方が決まっていないと、作る人ごとに置き方が変わります。この決めごとをどこに書くかは、ブランドガイドラインとは。何を書き、なぜ使われなくなるのかに書きました。

社内にも置きます。社員が説明できない一文は、外でも説明されません。名刺に印刷されていても、渡すときに触れられなければ、相手は読み飛ばします。

出す場所によって、扱いも変わります。ロゴの近くでは、短さが効きます。会社案内の表紙では、その下に補足を置けます。同じ一文でも、周りに何があるかで伝わり方が変わります。

使わない場所も決めておきます。あらゆる資料の隅に入れると、見慣れて意味が消えます。目に入る回数と、覚えられるかどうかは、別のことです。

置く場所ごとに、誰が管理するかも決めます。サイトは制作の担当、名刺は総務、会社案内は広報。担当が分かれていると、変えたときに片方だけが残ります。どこに出しているかの一覧を持っておくと、直す作業が短くなります。

そして、印刷物との相性も見ます。刷ってしまえば直せないので、出す前に社内で一度使ってみる。会議で口に出してみて、言いにくければ、そこで気づけます。

書けないことは、悪い知らせではない

タグラインが短くならないとき、詰まっているのは言葉ではありません。何を約束するかが、まだ決まっていないということです。

短くするというのは、捨てるということでした。捨てるには基準が要り、基準は約束から出ます。順番としては、それだけです。

だから、書けないという症状は、どこに戻ればいいかを教えています。案を足す前に、上流を確かめる。そちらのほうが、結果として早く終わります。

一文が出てきたら、社内の何人かに言ってもらいます。言えるなら、決まっています。言い直しが入るなら、まだ途中です。

測った結果が「まだ決まっていない」でも、それは進んだということです。どこに戻ればいいかが分かった状態だからです。

逆に言えば、短い一文が書けたときには、上流が決まっているということになります。タグラインは成果物ですが、同時に、決まっているかどうかを測るものでもあります。

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