周年スローガンの決め方。周年が終わったあとも、その言葉を使うか
周年スローガンとは、会社が創業や設立から節目の年を迎えるときに、その周年に掲げる短い言葉です。
言葉を考える前に、周年が終わったあとも使うのか、周年で終わらせるのかを決めます。どちらにするかで、決める人も、入れる言葉も、置く場所も変わります。
会社が変えずに掲げる一文はタグラインとは。キャッチコピーとの違いと、短くならないときの原因に、数段落で書く文章はブランドステートメントとは。企業理念・タグラインとの違いと、書き方にまとめました。この記事では、周年という終わりのある機会に作る言葉を扱います。周年スローガンとは何かから、周年のあとどうするかの決め方、外せない場所に入れるかどうか、残すときのいまの言葉との関係、入れられる言葉、周年ロゴ、誰がいつまでに決めるかまでを書きます。
周年スローガンとは
周年スローガンは、周年の取り組みのあいだ、会社が掲げる短い言葉です。記念の式典、特設のページ、記念誌、記念品、周年ロゴ。周年に合わせて作るものと一緒に使われます。
呼び方は、会社によって違います。スローガンと呼ぶところもあれば、キャッチコピーやメッセージと呼ぶところもあります。タグラインの記事にも、スローガンという語が指す範囲は会社によって違う、と書きました。
その記事では、タグラインとキャッチコピーを、寿命で分けました。見分け方は、「その一文を、来年も使うつもりがあるか」です。あるならタグライン、ないならキャッチコピーです。
周年スローガンは、この見分けのあいだにあります。掲げる時点では、周年の期間のための言葉です。期間ごとに入れ替えるキャッチコピーに近いところにいます。ところが、周年が終わっても使い続けると、会社の約束を表す一文として読まれ始めます。タグラインの役を持つようになります。
どちらになるかを決めないまま作られることがあるのが、周年スローガンの難しいところです。周年という終わりのある機会に作るのに、終わったあとの扱いが決まっていない。外すのか使い続けるのかを、周年が過ぎてから初めて考えます。
先に決めるのは、周年のあとどうするか
周年スローガンの行き先は、二つです。
一つは、周年で終わらせることです。周年の期間だけ掲げて、終わったら外します。
もう一つは、残すことです。周年が終わったあとも、会社の言葉として使い続けます。
タグラインとキャッチコピーを分けた表を、周年の言葉に当てると、次のようになります。
| 周年で終わらせる | 残す | |
|---|---|---|
| 決める人 | 周年の取り組みを進める担当でも決められる | 経営 |
| 数字(◯周年) | 入れてよい | 外しても意味が通る形にする |
| 置く場所 | 周年の期間に出るもの(式典、特設のページ、期間中の署名など) | 名刺、サイト、看板など、ずっと出るもの |
| いまの言葉との関係 | いまのタグラインはそのまま。周年の期間だけ並ぶ | 置き換える、並べる、ステートメントに入れる、から選ぶ |
| 終わり方 | 外す日を決める | 見直すきっかけを決める |
この表は、私たちの整理です。会社によって、決める人や置く場所の範囲は変わります。

どちらにするかは、周年の言葉で言いたいことが、その年だけのことか、会社がこれからも約束することかで決まります。お礼や節目の報告なら、周年で終わらせる言葉です。会社がこの先も守ることを言うなら、残す言葉になります。ただ、言いたい約束を、いまのタグラインがすでに言えているなら、新しい一文は要らないこともあります。その場合、周年の言葉はその年だけのことに絞れます。
違いが大きいのは、決める人です。周年で終わらせる言葉なら、周年の取り組みを進める担当の中で決められます。残す言葉は、会社の約束を表す一文になるので、決めるのは経営です。タグラインの記事でも決める人の違いを挙げ、会社の約束に関わる一文は経営が決める、と書きました。
数字の扱いも分かれます。周年で終わらせるなら、「◯周年」の数字を入れて構いません。その年のための言葉だからです。残すなら、数字を外しても意味が通る形にしておきます。
残す言葉の見直しは、何年経ったかより、事業が変わったときのような出来事をきっかけにします。この決め方も、タグラインの記事に書いたものと同じです。
途中で行き先を変えることもあります。周年で終わらせるつもりだった言葉が社内で口にされるようになり、残したくなることがあります。そのときは、残す側の決め方をやり直します。決める人が経営に移り、入れる言葉も見直すことになります。
どちらが良いという話ではありません。周年のあとどうするかを確かめずに案を出すと、周年が終わったときに、扱いの決まっていない言葉が残ります。
外せない場所に入れるかを、先に決める
周年で終わらせるなら、外す日も決めます。
終わらせると決めたものは、終わる日まで決めておく。この話は、これまでにも書いてきました。名前をやめるときの話はブランドアーキテクチャとは。ブランド体系を、後から並べ直すに、サイトを閉じるときの話はブランドサイトとは。コーポレートサイトとの違いと、分けるかどうかの決め方にあります。
周年の言葉が違うのは、終わる日が、最初から分かっていることです。周年の年度が終わる日、式典から一年、といった区切りは、周年の計画と一緒に決まります。外す日そのものを決めるのに、手間はかかりません。
考えておきたいのは、外す日より、外せない場所のほうです。
周年の言葉を置く場所には、あとから外せる場所と、外せない場所があります。
- 外せる場所:サイト、メールの署名、社内の掲示、刷り直せる名刺
- 外せない場所:配った記念品、取引先に送った挨拶状、刷り終えた記念誌
外せない場所に入れた言葉は、周年が終わっても残ります。記念誌のように、その年を残すために作るものなら、それで構いません。言葉が残ることも、記念誌の役目のうちです。

迷うのは、記念品です。配った記念品は、相手の手元で使われ続けます。周年で終わらせるつもりの言葉を記念品に入れると、周年が過ぎても、その言葉は相手のところで目に触れ続けます。それで構わないのか、入れずにおくのかを、置く前に決めます。入れるなら、その場所では言葉が残ると分かったうえで入れます。
外せる場所にも、外し忘れがあります。周年が終わったあとも、サイトの隅やメールの署名に残っていると、時期を過ぎた言葉に見えます。どこに置いたかの一覧を作っておくと、外す日に探さずに済みます。
周年の期間だけ、いまのタグラインと並べていたなら、外したあとは、いまのタグラインだけに戻ります。
残すなら、いまの言葉との関係を決める
残すと決めたら、いまある言葉とどう並べるかを決めます。
いまタグラインがない会社なら、周年の言葉が、そのまま会社のタグラインになります。最初からそのつもりで選びます。決めるのは経営で、入れる言葉も長く使う前提で選びます。
いまタグラインがある会社には、三つの選び方があります。
置き換える。周年の言葉を新しいタグラインにして、いまのものを外します。タグラインを変えることになるので、タグラインの記事で「決めたあとに変えるか」として書いた判断が、そのまま要ります。変えれば、覚えてもらった分を一からやり直すことになります。
並べる。名刺やサイトに、短い一文が二つ並ぶことになります。読む側には、どちらが会社の約束なのかが分かりません。並べるなら、役割を分けます。いまのタグラインを会社の約束としてロゴの隣に置き、周年の言葉は別の場所で使う、という分け方です。
ステートメントの中に入れる。周年の言葉を、会社の考えを書いた文章の一文として残します。ロゴの隣には置かず、会社のことを知ろうとしてページを開いた人の目に入る形です。ステートメントの役割は、先に挙げたステートメントの記事に書きました。
いまのタグラインやロゴのうち、外の人がすでに目印にしている部分があるなら、周年の言葉で消さないようにします。何が目印になっているかの見つけ方は、ロゴを変更するとき。リニューアルで失うのは、見た目ではなく手がかりに書きました。
残すかどうかで、入れられる言葉が変わる
周年で終わらせるなら、その年だから言えることを入れられます。続いてきた年数、その年の出来事、支えてくれた人へのお礼。周年が終われば外すので、時間が経って古びる心配は要りません。
残すなら、時間が経っても指すところがずれない言葉にします。
年数を入れると、翌年から数字が合わなくなります。数字を外して読んでも意味が通るかを、確かめます。
「次の10年へ」のような言い方は、10年が過ぎると使えなくなります。
「これから」「新たな」のように、周年の時点から見た言い方も、時間が経つと指している時点がずれていきます。周年から何年か経って読むと、いつから見た「これから」なのかが分かりません。
タグラインの記事には、形の選び方として「ただ、動詞には期間の含みが出ます。」と書きました。名詞で止めると、時間の含みが消える、という話です。残す言葉は、この見方で形を選べます。
残す言葉をどう作るかは、タグラインの作り方そのものになります。何を約束するのかを先に決め、それから短くする。スローガンをうまく作る方法を聞かれたら、残す言葉については、タグラインの記事の順番で作る、というのが答えです。
周年スローガンの例を並べた記事や画像は、探せば見つかります。ただ、例から選ぶと、残すか終わらせるかが決まっていない言葉を選ぶことになります。行き先を決めてから例を見るほうが、選ぶ基準がはっきりします。
周年ロゴも、同じ問いで決める
周年の言葉と一緒に、周年ロゴを作ることがあります。周年ロゴにも、言葉と同じ二つの行き先があります。
周年で外すなら、周年の期間だけ、いまのロゴの隣に置きます。終わったら、いまのロゴだけに戻ります。
残す、あるいはいまのロゴに組み込むなら、それはロゴを変えることになります。ロゴを変える前に、いまのロゴの何が外の人の手がかりになっているかを確かめる話は、ロゴを変更するときの記事に書きました。周年の印を足したことで、その手がかりが見えにくくならないかを見ます。
言葉とロゴの行き先は、そろえておきます。言葉は周年で外したのに、周年ロゴだけが残っていると、何の印なのかが分からなくなることがあります。
周年ロゴを考えるときに最初に決めるのも、形より行き先です。周年で外すのか、いまのロゴに組み込むのか。そこが決まると、いまのロゴにどこまで手を入れてよいかが決まります。
誰が、いつまでに決めるか
周年は、期限が外から決まる機会です。ブランディング会社の選び方。4つの型と、自社に必要な型の見分け方でも、周年を、上場や大型の催事と並べて、「動かせない期限が外にある場合」の例に挙げました。
残すなら、決めるのは経営です。経営で決める話には、時間がかかります。周年ロゴ、記念誌、特設のページ、記念品は、言葉が決まってから作るので、言葉はそれより前に決めておきます。言葉が遅れると、それに合わせて作るものが、順に遅れます。
周年で終わらせるなら、担当の中で決められます。外す日と、外せない場所に入れるかどうかは、周年の計画と一緒に決めます。
決めた理由も残しておきます。なぜ残すことにしたのか、なぜ周年で終わらせたのか。次の周年が来たとき、同じ問いがまた出ます。そのとき、前の周年で何を考えたかが分かれば、話が早く進みます。タグラインの記事にも、変えないと決めたときの記録を残す話を書きました。周年の言葉でも、考え方は同じです。
言葉の前に、行き先を決める
周年スローガンは、言葉を考える前に、周年が終わったあとも使うのか、周年で終わらせるのかを決めます。
残すなら、いまのタグラインやステートメントとの関係を決め、決めるのは経営です。周年で終わらせるなら、外す日と、外せない場所に入れるかどうかまで決めます。
行き先が決まれば、決める人も、入れる言葉も、置く場所も決まります。言葉を選ぶのは、そのあとです。