会社案内の作り方。刷った日から古くなる冊子に、何を載せるか

会社案内の作り方。刷った日から古くなる冊子に、何を載せるか

会社案内の作り方。刷った日から古くなる冊子に、何を載せるか

会社案内を作ることになったとき、最初に探すのは、載せる項目の一覧かもしれません。会社概要、代表のあいさつ、理念、事業の紹介、沿革、社員の紹介。一覧は、探せばすぐに見つかります。

ただ、一覧を全部埋めた冊子ほど、早く古くなります。刷った日から、冊子の中身と会社の実際が、少しずつずれていくからです。

この記事で書くのは、会社案内とは何かから、何年使うかを決め、載せるものを古くなる速さで分け、誰に渡すかで順番を決め、紙の上で決めごとを揃えて、刷る前に確かめるところまでです。

会社案内とは

会社案内は、会社の概要や事業、考え方をまとめて、人に手渡すための冊子です。会社のパンフレットと呼ばれることもあります。

渡す相手は、さまざまです。商談で会った取引先の担当者。説明会に来た学生。新しく付き合いの始まる仕入れ先や金融機関。展示会で立ち寄った人。冊子を刷らずに、同じ中身を PDF にして送ることもあります。

会社の説明は、会社のサイトにも載っています。それでも冊子を作るのは、サイトにはない性質があるからです。

一つは、相手の手元に残ることです。サイトは、相手が見に来なければ読まれません。冊子は、机の上や棚に置かれ、あとからまた手に取られます。

もう一つは、刷ったら直せないことです。サイトの文章は、明日にでも書き換えられます。冊子は、刷った時点の中身のまま配られていきます。

この二つは、裏表の関係にあります。手元に残るから、刷った時点の中身が、長く読まれ続けます。会社案内を作るときに最初に考えたいのは、この裏表のほうです。

刷った日から、古くなる

会社は、冊子を刷ったあとも動き続けます。人が入り、人が替わり、拠点が増え、扱うサービスが変わります。冊子のほうは、刷った日のままです。

古くなりやすいものを、例としていくつか挙げます。どれが先に古くなるかは、会社によって違います。

  • 数字。社員の人数、拠点の数、取引先の数、実績の件数
  • 人。役員の顔ぶれ、窓口になる担当者の名前、社員紹介の顔写真と肩書き
  • 事業とサービスの中身。新しく始めたこと、やめたこと、名前を変えたもの
  • 沿革の最後の行。刷ったあとに起きたことは、載っていません

一方で、何年も同じでいられるものもあります。何をしている会社か。何を大事にして仕事をしているか。ロゴと色。こうしたものは、会社が変えると決めない限り、刷ったときのまま通用します。

古くなった冊子は、回収できません。配った冊子は、相手の手元で、刷った日の会社を説明し続けます。手元に残るという性質が、ここでは裏目に出ます。

社内に残っている在庫も同じです。刷り直すまでは、古いと分かっている冊子を配り続けることになります。担当者が手書きで直した冊子を渡す場面は、作る前の段階で避けておきたいところです。

何年使うかを先に決める

古くなることは避けられません。だから、何年使うつもりで作るかを、先に決めます。

年数を決めると、部数とページ数の考え方が決まります。この三つは、互いにつながっています。

部数は、その年数のあいだに配る冊数から考えます。まとめて刷りたくなる場面もありますが、部数を増やすほど、使い切るまでの期間は延びます。期間が延びるほど、古くなった中身を配る期間も延びます。部数から先に決めると、この順番が逆になります。

ページ数は、その年数のあいだ同じでいられる中身の量で決まります。長く使う冊子ほど、載せられるものは絞られます。古くなりやすいものを外していくと、残るものは思ったより少なくなるはずです。それで構いません。少ないぶん、長く使えます。

年数は、会社の予定から考えます。事業の計画が切り替わる時期、移転や組織の変更の予定、周年。次に大きく変わると分かっている時期までを、ひとまずの年数にします。

何年使う前提かは、作る側が、作り始める前に聞いておくことです。仕様や部数の相談より先に来る話だからです。

何年使うかを先に決める
図をタップすると、拡大して見られます

古くなる速さで、置き場所を分ける

製本すると直せなくなること、そのため変わる部分を冊子とは別に置く方法があることは、ブランドブックとは。ガイドラインとの違いと、どちらが要るかの決め方に書きました。会社案内では、その置き場所を、古くなる速さに合わせて三段に分けて考えます。

冊子の本体には、決めた年数のあいだ同じでいられるものを載せます。何をしている会社か、考え方、事業の柱、ロゴと色。

差し込みには、年に一度ほど変わるものを載せます。差し込みは、冊子に挟む別の紙や、表紙の内側のポケットに入れる紙のことです。会社概要の数字、拠点の一覧、役員の顔ぶれ、サービスの一覧。変わったら、その紙だけを刷り直せます。

サイトには、いつ変わってもおかしくないものを置きます。新しい実績、お知らせ、採用の募集、担当者の連絡先。冊子には、サイトのどこを見ればよいかを書いておきます。アドレスや QR コードを載せておけば、冊子から最新の情報へ渡れます。

古くなる速さで、置き場所を分ける
図をタップすると、拡大して見られます

三段に分けると、刷り直す範囲が小さくなります。会社の数字が変わっても、差し込みを刷り直せば済みます。冊子の本体は、決めた年数のあいだ、そのまま配り続けられます。

サイトの側を作り直すかどうかの決め方は、コーポレートサイトのリニューアル。作り直す前に、何が変わったかを見るで扱っています。

置き場所の分け方は、仕様を決める段階で、作る側から示してほしいことでもあります。差し込みにするか、本体に刷り込むかは、紙や綴じ方を決めたあとでは変えにくいからです。

誰に渡すかで、順番を決める

会社案内を渡す相手は、大きく分けると、仕事の相手と、入社を考えている人です。営業用と採用用を一冊で兼ねるか、分けて作るかは、作る前に決めておきます。

兼ねれば、作るのは一冊で済みます。ただ、読む人が知りたいことは違います。仕事の相手は、何を頼めるのか、頼んで大丈夫な会社かを知りたい。入社を考えている人は、どんな人と、どんなふうに働くのかを知りたい。一冊に両方を入れると、どちらの読み手にも、知りたいことが半分ずつしか届きません。

分けるかどうかは、それぞれをどれだけ配るかで決めます。説明会で毎年配るなら、採用用を別にしておけば、年ごとに変わる募集の情報を、採用用の差し込みだけで入れ替えられます。

渡す相手が決まったら、最初の見開きに何を置くかを決めます。冊子を開いて最初に目に入るところには、その相手が最初に知りたいことを置きます。会社の歴史から始めるのは、歴史を知りたい相手に渡すときです。

誰に渡すかで、順番を決める
図をタップすると、拡大して見られます

渡した冊子は、受け取った人の手元で終わるとは限りません。仕事の相手なら、社内の別の人に回すことがあります。会った人が、その場にいない人に説明するときに何が残るかは、BtoBブランディングとは。会っていない人に、どう伝わるかに書きました。

決めごとを、紙の上で揃える

会社案内は、会社の決めごとが、紙の上で一度に試される場所です。ロゴ、色、書体、写真、言葉。それぞれ別の場面で決めたものが、同じ見開きに並びます。

色は、画面で決めたとおりには刷れないことがあります。画面と印刷では、出せる色の範囲が違うからです。印刷で使う値と、どこまでの差を同じ色とみなすかは、コーポレートカラーの決め方。色見本で選んだ1色は、まだ決まっていないに書きました。

言葉は、すでに決めた会社の言葉から書き始めます。代表のあいさつも、事業の紹介も、会社が何を約束しているかを書いた文と、向きが揃っている必要があります。会社の言葉の書き方は、ブランドステートメントとは。企業理念・タグラインとの違いと、書き方にあります。

写真と書体は、決まりがあるならそれに従います。写真の選び方や書体の使い方がガイドラインにまとまっていれば、冊子はそれを当てはめるだけで済みます。

まとまっていないなら、冊子を作る中で決めたことを、書き残しておきます。どんな写真を選び、どの書体をどこに使ったか。書き残したものがあれば、次の冊子やサイトで同じものを使えます。作る側が、決めたことを一枚にまとめて渡してくれれば、それがそのまま決めごとの下書きになります。ガイドラインに何を書くかは、ブランドガイドラインとは。何を書き、なぜ使われなくなるのかで扱っています。

刷る前に確かめること

数字には、いつの時点の数字かを書き添えます。社員の人数や拠点の数の横に、何年何月現在と入れておけば、冊子が古くなったとき、読む人がそれに気づけます。古いと分かる数字は、古いと分からない数字より、相手を迷わせません。

色は、本番に近い条件で試し刷りをして確かめます。試し刷りを用意して見せるのは、刷る側の役目です。見るときの考え方は、さきほどのコーポレートカラーの記事にあります。

最後に全体を見る人を、一人決めます。原稿は、事業の担当、人事、広報、経営と、社内のいろいろな人が書きます。全員が自分の段落だけを見て終わると、冊子全体の言い方が揃っているかを見る人がいなくなります。

原稿と写真は、社内にしかないものです。外に頼んでも、ここは社内で用意することになり、進行はここで止まりやすくなります。サイトを作り直すときにも同じことが起きる、という話は、さきほどのコーポレートサイトのリニューアルの記事に書きました。

項目より先に、年数を決める

会社案内を、載せる項目の一覧から作り始めると、全部を載せた冊子になります。全部を載せた冊子は、早く古くなります。

先に決めるのは、何年使うかです。年数が決まれば部数が決まり、冊子の本体に載せるものが決まり、差し込みとサイトに置くものが決まります。

刷った日から古くなることは、避けられません。避けられないなら、古くなる部分を、最初から冊子の外に置いておきます。

Tags: