パッケージデザイン会社の選び方。依頼できる範囲と、決めておく条件

パッケージデザイン会社の選び方。依頼できる範囲と、決めておく条件

パッケージデザイン会社の選び方。依頼できる範囲と、決めておく条件

候補は集まる。選ぶ材料がない

パッケージデザイン会社を選ぶとき、先に決まるのは会社ではありません。印刷の方法、容器の形、いつまでに棚へ出すか。こうした条件がどこまで決まっているかで、頼める相手が変わります。会社を比べる前に、自社の条件がどこまで固まっているかを確かめる。それが選び方の実質です。

「パッケージデザイン会社 おすすめ」で調べると、何社も並んだ記事が見つかります。候補を集めるだけなら、あれが手っ取り早い方法です。社名も、得意分野も、所在地もまとまっています。

ただ、そこから1社を選ぶ段になると足りません。並んでいるのは会社の情報であって、自社に何が必要かは書かれていないからです。比べる軸を持たないまま一覧を眺めても、決め手は出てきません。

探しているのは、腕の良い会社というより、自社に合う会社です。一覧に並んでいる会社は、どこもパッケージを作れます。分かれるのは、今回の案件で必要になる工程を、その会社が引き受けているかどうかです。同じ「パッケージデザインの依頼」という言葉が、案件によって指している範囲が違います。

この記事では社名を挙げません。金額にも触れません。範囲が決まらないうちに出てくる金額は、比べても意味がないからです。逆に範囲が決まれば、見積もりは比べられるようになります。ここでは、依頼できる範囲がどう分かれているかと、そのどれが自社に要るのかを決める材料を書きます。

新商品か、リニューアルか

新商品とリニューアルで、依頼先に効く違い
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同じ「パッケージデザインの依頼」でも、新しく出す商品と、すでに売っている商品の作り直しでは、必要な相手が違います。

新商品 リニューアル
すでに決まっているもの 中身、売価、置きたい棚 それに加えて、いまの見た目
難しいところ 何もないところから目印を作る すでにある目印を壊さずに変える
依頼先に効く違い 形や構造から相談できるか いまの商品を読み解けるか

新商品は、決まっていないことが多いぶん、相談できる範囲が広い相手が向きます。容器の形が未定なら、形から一緒に考えられるかどうかが効いてきます。

中身がまだ固まっていない段階で相談に来られることもあります。その場合は、決まっていないことを前提に動ける相手かどうかが分かれ目になります。固まってからお持ちください、と返す会社もあれば、固まっていない前提で形から一緒に考える会社もあります。どちらが正しいという話ではなく、進め方が違います。

リニューアルは逆です。制約が増えます。すでに買っている人がいて、その人たちは棚の前で、色と形を手がかりに商品を探しています。手を入れると、その手がかりが消えます。

リニューアルのなかでも、中身を変えずに見た目だけを変える場合と、中身も一緒に変わる場合とでは、話が違ってきます。中身が変わるなら、変わったことが伝わらなければ意味がありません。中身が同じなら、伝えるべき新しいことは、そもそもありません。どちらなのかで、変える理由の置きどころが変わります。

次の章は、リニューアルを考えている方に向けたものです。新商品の立ち上げなら、その次の章から読んでください。

リニューアルなら先に決める

すでに売っている商品を作り直すなら、会社を探す前に決めておくことがあります。何を変えないか、です。

パッケージのリニューアルで売上が落ちるとき、原因はデザインの出来映えとは限りません。落ちているのは、棚での見つけてもらいやすさです。いつも買っている人は、商品名を読んで選んでいるわけではありません。色と形で、見た瞬間に判断しています。

この話は別の記事で詳しく書いているので、ここでは繰り返しません(パッケージを変えたら売れなくなる。その手前で、何が起きているのか)。会社選びとの関係でいえば、押さえるところは一つです。

何を変えないかを決めずに発注すると、どの会社に頼んでも同じことが起きます。色を動かすのか、形を動かすのか、写真を動かすのか。決めていなければ、提案は自由な方向へ広がります。広がった提案から選ぶとき、判断の基準は「良く見えるかどうか」しか残りません。棚で見つけてもらえるかどうかは、そこに入ってこないのです。

気をつけたいのは、変えないものと、変えられないものは違うということです。表示の決まりや、詰める工程の都合で動かせないものは、あとから出てきます。それは制約であって、守ると決めたものではありません。決めるべきなのは、動かせるのにあえて残すもののほうです。

残すものを増やしすぎると、今度は変える意味がなくなります。ここは全部を決めきる作業ではなく、順位をつける作業だと考えてください。最後まで残すのはどれか。そこが決まっていれば、上がってきた提案を見る目が変わります。良いか悪いかではなく、残すはずのものが残っているかで見られるようになります。

もっとも、これを依頼する側だけの宿題にするのは違います。変えないものを一緒に探すのは、本来は依頼を受ける側の仕事です。現物を見て、いまこの商品が何によって見つけられているのかを言う。最初の打ち合わせは、そこから始まるのが筋です。決めてから来てください、と求める話ではありません。

依頼できる範囲は4つに分かれる

パッケージの依頼先を、引き受ける範囲で4つに分けた図
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パッケージの依頼先は、どこまでを引き受けるかで分かれます。業界に定まった分類があるわけではありません。私たちはこう分けて考えています。

範囲 やること 発注側に残るもの
デザインだけ 平面のデザインを作る 印刷の手配、形の決定
容器の形から 形や構造を含めて作る 印刷と製造の手配
印刷と製造まで 印刷会社や工場の手配を含む 検品と納期の管理
出たあとまで 発売後の追加や改版を含む 社内に残る作業が少ない

デザインだけを頼む

容器の形も、印刷の方法も、印刷会社も決まっている場合です。決まっている条件を渡して、その中でデザインを作ってもらいます。

条件が固まっているほど、この形はうまく回ります。速く進み、やりとりも少なく済みます。逆に、固まっていないまま頼むと、デザインができたあとで「この形では刷れない」と分かることがあります。

印刷会社とのやりとりは自社に残ります。色の確認も、納期の追いかけも、こちらで持ちます。デザインを受け取ってから先が長い形だと見ておくと、日程が立てやすくなります。

容器の形から頼む

形そのものを検討の対象にする場合です。新商品でまだ何も決まっていないとき、あるいは棚での見え方を形から変えたいときに要ります。

形が変われば、印刷の方法も、詰める工程も変わります。ここを含めて相談すると決めることは増えますが、あとで戻る手間は減ります。

そのかわり、決まるまでの時間は延びます。形を検討し、試作を見て、詰める工程で成立するかを確かめる。その往復が入るためです。棚に出す時期から逆算して、間に合うかどうかを先に確かめてください。

印刷と製造まで頼む

印刷会社や工場の手配まで任せる場合です。社内に調達や進行の担当がいないとき、窓口が一つになる利点があります。

ただし、間に人が入る分だけ工程は見えにくくなります。どこまでを自社でやり、どこから先を外に出すのかを、最初に聞いておく必要があります。

詰まりやすいのは色の確認です。画面で見た色と、刷り上がった色は違います。誰がどの段階で色を確かめるのかを、範囲の話と一緒に決めておくと、あとで揉めずに済みます。

もっとも、この段取りを先に示すのは、範囲を引き受けた側の仕事です。聞かれるまで言わない進め方になっているなら、引き受けた範囲そのものが、まだあいまいだということです。

出たあとまで頼む

発売してからの追加、味違いの展開、表示の変更まで含める場合です。品目が増えていく商品や、継続して出していくシリーズで効いてきます。

この形は、最初の一品だけを見ていると必要性が分かりにくいところがあります。効いてくるのは、次の品目を出すときです。前に作ったものと揃えるとき、同じ相手が作っていれば、経緯を説明し直さずに済みます。

一つ確かめておきたいのは、下へ行くほど良い、という並びではないことです。条件が決まっているなら、デザインだけを頼む形で足ります。工程が増えないぶん、着地も早くなります。範囲を広げる理由は、社内で持てない工程があるかどうかです。

途中で範囲を広げられるかどうかも、聞いておくと役に立ちます。デザインだけを頼んだあとで、印刷会社が見つからないと分かることがあります。そのとき引き受けてもらえるかどうかで、探し直す手間が変わります。

印刷と製造が先に決めている

印刷の方法・素材・容器の形が、デザインに使える面を先に決めている
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デザインの自由度は、デザインを始める前に決まります。

印刷の方法、使う素材、容器の形。ここが決まっていれば、その中でできることに上限が引かれます。紙なのかフィルムなのか、何色で刷るのか、加工を入れるのか。デザイナーが選べる範囲は、そこから内側です。

印刷会社がすでに決まっている案件では、この上限が先に立っています。長く付き合っている印刷会社があるなら、その会社で扱える範囲が、そのままデザインの範囲になります。これは制約ですが、悪いことではありません。決まっているほど、話は速く進みます。

作る数と、箱に入れる数も効いてきます。数が少ないときに使える印刷の方法と、多いときに使える方法は違います。ここを決めずにデザインを進めると、見積もりの段階で作り直しになることがあります。

画面と実物の差も、この段階の話です。パッケージは光を返す素材の上に刷るので、モニターで見た色は、そのままは出ません。金や銀を使うなら、なおさらです。実物で確かめるしかない工程が入るので、その時間を日程に組み込んでおく必要があります。

表示しなければならない文言もあります。成分や内容量のように、載せることが決まっているものです。何が必要かは商品によって違うので、ここでは並べません。ただ、この面積は動かせません。デザインに使える面は、その残りです。

だから、会社を探す前に確かめておくと早いのは、この三つです。印刷会社が決まっているか。形が決まっているか。作る数が決まっているか。

三つとも埋まっていなくても、相談は始められます。ただし、どれが埋まっていないのかを整理して返すところまでが、相談を受けた側の仕事です。足りないものを並べて突き返すだけなら、相談に応じたことになりません。

どこまで任せるかを決める

どこまで任せるかを決める4つの判断材料
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どれが要るかを決める材料は、社内にあります。

印刷会社が決まっているかどうかが、まず効きます。決まっているなら、印刷と製造まで頼む必要はありません。決まっていないなら、自分で探すか、任せるかの判断が要ります。

形から作る必要があるかどうかが、次に効きます。いまの容器をそのまま使うなら、平面のデザインだけで足ります。棚での見え方を変えたいなら、形が候補に入ってきます。

社内に進行の担当がいるかどうかも見ます。印刷会社とのやりとり、色の確認、納期の追いかけ。この仕事を持てる人がいなければ、範囲を広げて任せるほうが、結果として滞りが少なくなります。

品目が一つか、シリーズかでも変わります。一つなら、そのつど頼む形で足ります。増えていくなら、続けて見てもらえる相手のほうが、あとで揃えやすくなります。

迷ったときは、その工程が今回きりかどうかで考えてみてください。今回きりなら、外に出したほうが速く終わります。これから続くなら、社内に残したほうが、二度目からが楽になります。範囲の広さは、案件の大きさではなく、続くかどうかで決まる面があります。

複数が当てはまるときは、社内で誰が窓口に立てるかで決めます。立てる人がいるなら範囲を狭く、いないなら広く。この順番でも進みますが、逆にすると、決めきれないまま相見積もりを取ることになります。

狭く頼んで足りなかった場合も、やり直しにはなりません。足りない工程が分かった時点で、そこだけを別に頼む形にできます。ただし窓口は増えます。増えた窓口を誰が持つのかを、先に決めておいてください。

なお、どこまでを自社で引き受けるのかを、聞かれる前に示すのは、見積もりを出す側の仕事です。範囲の書かれていない見積もりが並んでいるとすれば、比べられないのは依頼する側の落ち度ではありません。

最初の打ち合わせに持っていくもの

条件を言葉で説明するより、現物を持っていくほうが早く伝わります。

  • いまの商品の現物(リニューアルの場合)
  • 棚の写真、または売り場の様子が分かるもの
  • 売価と、箱に入れる数
  • 印刷会社が決まっているかどうか。決まっていれば、その社名
  • 作る数の見込み
  • 載せることが決まっている文言

現物が一つあると、話が具体になります。写真では、大きさも、手に持ったときの質感も伝わりません。棚の写真も同じで、隣に何が並んでいるかは、口で説明しても伝わりにくいところです。

新商品で、まだ現物がないときは、参考にしている商品を持っていきます。自社のものでなくて構いません。棚で隣に並ぶことになる商品でも、雰囲気が近いと思っている商品でも、実物があるほうが、伝わり方が変わります。言葉で伝えようとすると、抽象的な形容詞の交換になりがちです。

そのうえで、聞くことは持ち物に紐づきます。現物を渡して「この商品は、いま何で見つけられていると思いますか」と聞く。印刷会社の名前を渡して「この会社でできる範囲はどこまでですか」と聞く。作る数を伝えて「この数で使える方法はどれですか」と聞く。

質問の一覧を用意していく必要はありません。手元にあるものを出して、それについて答えが返るかを見る。返ってこないなら、その範囲は引き受けていないということです。

逆に、こちらが答えられない質問が出たときは、それが決まっていない条件です。その場で無理に答えないでください。持ち帰って社内で決めるものと、相手と一緒に決めていくものを仕分けるだけで、次の打ち合わせの中身が変わります。

ここでも、順序は逆であるべきです。何を持ってくればよいかを先に伝えるのは、受ける側の仕事です。何も言われないまま打ち合わせに来て、話が進まなかったとすれば、準備が足りなかったのは依頼する側ではありません。

会社より先に、条件が決まる

パッケージデザイン会社の選び方は、会社を比べるところから始まりません。自社の条件がどこまで決まっているかを確かめるところから始まります。

印刷会社が決まっているか。形が決まっているか。作る数が決まっているか。すでに売っている商品なら、何を変えないか。ここが埋まっているほど頼める相手は絞られ、迷う場面が減ります。

埋まっていないなら、それも一つの条件です。埋めるところから一緒にやってくれる相手を探す、という選び方になります。決まっていないことは、悪いことではありません。決まっていないまま、決まっているつもりで発注することだけが問題になります。

どの会社に頼んでも同じものができる、という話ではありません。条件が同じでも、上がってくるものは相手によって違います。ただ、その違いを比べられる状態にするために、先に条件を並べておく必要がある、ということです。並べたうえで見比べれば、一覧では分からなかった差が見えてきます。

一覧を見るのは、そのあとで足ります。

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